こんにちは、井上FP事務所の井上です。
先日読んだ『まぐれ〜投資家はなぜ、運と実力を勘違いするのか(著 ナシーム・ニコラス・タレブ)』の感想を書いていきたいと思います。
ランダム性と確率論
翻訳本は例に漏れず読みづらい
昔に比べると読む本の種類が変わってきた気がします。
といってもファイナンシャルプランナーという仕事を始めて4年目だから昔といってもそれほど昔ではないが、お手軽に読める文庫本サイズの本ではなくハードカバーの分厚い本を読む比率が高くなって気がします。
それに多くは翻訳された本です。
僕は翻訳本が苦手で、「もっとわかりやすく言ってくれよ!」って思うし、流れるような文章ではないことが多く、読むのに手間取ってしまうからです。
この本も例に漏れず読みにくく、読みにくさでいうとジョージソロスの「ソロスは警告する」と似たような感覚で、読みにくさでいうとタレブの方が上だと思う。
しかし、それでも読むべき一冊であることは間違いないです。
確率論の話
この本は一言で言うと確率論について語った本です。
それを哲学などに絡めて話をしていくので、それが輪にかけて読みにくくしています。
この本が言いたいことは何かというと、ランダム性が多く関係するマーケットで過去に実績を残したトレーダーのほとんどが、実力ではなくまぐれの結果だということです。
人間は偶然を必然や確実と思い込むし、マーケットで言うとただのノイズ(何の意味もないこと)をシグナル(意味がある)と思い込んだりします。
こういった偶然やまぐれを実力や運命と思い込むことについて300ページにわたり、ひたすら書かれています。
またトレーダーが書いているのに、マーケットに関することはほとんど書かれていないのも特長です。
この本を読むべきなのは、
- 自分に才能を感じている投資家
- 確率と期待値の違いがわからない人
- 投資は難しくないと思っている人
他にも、偶然を実力と勘違いしないために自分に言い聞かす知識が欲しい方にもオススメです。
誕生日のパラドックス
偶然を運命と勘違いするのを説明するのには、誕生日のパラドックスが一番わかりやすいと思います。
「何人集まれば、その中に誕生日が同じ2人がいる確率が、50%を超えるか?」というのを調べたのが、誕生日のパラドックスです。
では、皆さんに質問です。
何人以上人数が集まれば誕生日の同じペアが生まれる確率が50%を超えると思いますか?
答えは23人です。
たった23人なんて思いもしないですよね。
でも、直感的には23人の集団の中でたまたま誕生日が一緒だなんて何か運命的ですよね。
世の中にはこのような運命や実力と勘違いしやすい偶然が山のようにあるのです。
そういったことを理解するためには、この本は非常に役に立ちます。
タレブはトレーダーですが、タレブの考え方は投資においてのみではなく、世の中の出来事に対しても重要な考え方だと思います。
決して読みやすい本ではありませんが、時間があれば一度読まれてはいかがでしょうか?