どうも、井上FP事務所の井上遥介です。
投資信託には、3つのコストが発生するという話を「投資信託とは?初心者のために徹底解説します」でしました。ですが、投資信託には表には出てこないコスト『実質コスト』というものが存在します。
今回は実質コストとは何か?実際に存在している投資信託である『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』を使って、実質コストを確認する方法をお伝えします。
- 投資信託の実質コストの存在を知ることができる
- 実質コストの確認方法がわかるようになる
- 投資信託の3つのコストを改めて理解できるようになる
投資信託のコストを復習しよう
投資信託には3つのコストが存在しましたね。
ポイント
- 購入手数料【購入時】
- 信託報酬【保有時】
- 信託財産留保額【売却時】
では、改めて3つの手数料を確認しておきましょう。
すでに理解できている方は、「投資信託の実質コストとは?」までスキップしても大丈夫です。
購入手数料
その名の通り、購入する時に必要な手数料ですね。手数料は最大3.24%まで金融機関は取ることができるようになっており、投資信託によって購入手数料は異なります。
もっと言うと同じ投資信託でも購入先が違うだけで購入手数料が変わります。
例えば、【フィデリティ・グローバル株式ファンド(H有) 『愛称:グローバル・パスポート』】を違う金融機関で手数料を比較してみましょう。
まず、モーニングスターで同商品の手数料比較ページで確認すると、楽天証券とフィデリティは手数料がゼロとなっています。つまり、この2つの証券会社はこの投資信託を購入する際に購入手数料は取らないということがわかります。
次にゆうちょ銀行ではどうでしょう?ゆうちょ銀行のサイトで同商品の詳細欄を確認すると、手数料はこうなっています。
ゆうちょ店頭なら2.16%、ゆうちょダイレクトなら1.728%となっています。このように同じ投資信託でも購入先が違うと手数料が違うということを覚えておきましょう。
仮にゆうちょ銀行でこの投資信託を100万円購入するとこうなります。
かなりもったいないですね・・・しかし、一般的にはノーロードと言って購入手数料がゼロの投資信託が多いですので、過度に心配する必要はありません。
メモ
投資信託を買うなら銀行ではなく、証券会社から買いましょう。餅は餅屋です。更に言うと、ネット証券を使うほうが良いと思います。僕も楽天証券をメインにしていますし、ほとんどがノーロードです。
信託報酬
ここはいちばん大切な部分で運用期間中、つまり自分が持っている間はずっと必要になるコストですね。あとの実質コストも信託報酬の話となります。
例えば、信託報酬が0.73%の投資信託があるとしましょう。この0.73%は年間の手数料です。なので、実際は日割り換算されていると思ってください。
365日で割ると1日あたり0.002%となるので、これを毎日支払っている状態になります。
信託報酬はいつ支払うのか?
よくこういう質問をされます。それに対する僕の回答はこうです。
毎日勝手に基準価格から差し引かれています
どういうことでしょうか?説明していきますね。
基準価格と信託報酬の関係
基準価格とは投資信託の時価のことですね。この基準価格は毎日夜中くらいに更新されます。
引用元 モーニングスター
なので、仕組みをイラストにするとこんなイメージです。基準価格は信託報酬差し引き後の価格なのです。
信託財産留保額
最後は売る時に必要な手数料ですね。
株式を売り買いするには手数料が発生します。もし、あなたが日本の株式に投資している投資信託を100万円持っていて、それを売ることにしたとしましょう。
この場合、どうなっているかというとファンドマネージャーは投資信託で運用している株式を100万円分売って、あなたに100万円の現金を渡すわけです。
ということは、当然売却時に株式を売却する際の手数料が発生しますよね。これを『解約したあなたが払ってよね』というのが『信託財産留保額』です。
とはいえ、投資信託全体で見れば信託財産留保額を必要とする投資信託はそれほど多くはありません。
投資信託の実質コストとは?
ようやく本題です。信託報酬などは、モーニングスターや証券会社の商品ページを見れば、すぐに確認することができます。
この目論見書を見るとコストの詳細が書かれている部分があります。
これを見ると、この投資信託の信託報酬は0.2296%程度、つまり0.23%くらいということがわかります。
しかし、投資信託は実際に運用している期間にこの信託報酬とは別の費用が発生することがあります。これが隠れコストと言われ、『運用報告書』を見ないとわからない数字です。
では、実際にこの『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』の実質コストを確認してみましょう。
実質コストの調べ方
モーニングスターを利用する場合は、『目論見書』ページに行きます。
そして、そのページの中にある『運用報告書』をクリックします。
すると、PDFが開きます。これが実際に運用したあとの報告書ですね。この中に『1万口当たりの費用明細』と書かれている部分があります。
ここで実質コストを確認することができます。これを見ると、実際に掛かったコストは0.304%となっていますね。
この0.304%から信託報酬0.098%を差し引いた0.206%が隠れコストと言われるものです。
ですが、期間をよく見てください。
この期間は1年ではなく、291日となっています。つまり、365日に換算する必要があります。
どうやって計算するのかと言うと、この投資信託の元々の信託報酬は0.1296%です。
それに対して、この期間の信託報酬は0.098%でしたね。ということは倍率としては132%です。
計算式
0.1296% ÷ 0.098%
あとは、さきほど調べた隠れコストの0.206%に132%を掛けると1年間の隠れコストがわかります。この場合は、0.206%の132%は0.27192%です。これに元々の信託報酬である0.2296%と合計すると約0.5%となります。
つまり、信託報酬0.23%ですよーと言っていた楽天・全世界株式インデックス・ファンドの実際のコストは0.5%もあったわけですね。
これはちょっと悪いですよね。実際に僕もこの投資信託持ってますからね笑
メモ
ただ、楽天証券も良くないと思ったのか、楽天投資顧問から運用報告書「1万口当たりの費用明細」の経過についてが発行されました。(これは結構異例です)
ここには4半期のコストが載っており、そこから実質コストを計算すると約0.37%となります。これなら、悪くないラインだと思います。
まとめ
今回はちょっとマニアックになってしまった感がありますね。ただ、実際には目論見書にちゃんと1年間で載せてくれている投資信託があるので、その場合は割戻しをする必要はありません。
正直、それほど気にしすぎることはないと思ってますが、こだわりたいなら一度自分でも調べてみてもいいですね。
動画で説明しています