医療費は「保険」で用意すべきか?

医療費は「保険」で用意すべきか?

前回の記事で、健康保険制度、そして、実際にかかる費用について確認をしてきました。

その中で、1入院の平均は22.7万円という数字に対して貯蓄では対応が可能ではないか?という結論になりました。

前回記事
医療保険は本当に必要なのか?

では、今回はさらに詳しく踏み込んで検証していきましょう。

入院日数の平均は?

保険のセールスの中でよく聞くのが

「近年は入院治療ではなく通院治療が主流」という話を聞きます。

これは事実です。
では、平均はどれくらいなのか?といいますと・・・

以下のグラフをご覧ください。
こちらは、過去5年間に入院した人に聞いた入院時の入院日数です。

スクリーンショット 2015-06-07 22.14.22

出典 (公財)生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」より)

 

平均入院日数19.7日

年々入院日数は減少傾向にあり、平均入院日数は19.7日でした。
では、以上で「平均費用」と「平均入院日数」が出揃いました。

ここからは、保険で用意すべきかどうか、の検証に入っていきます。

医療保険ではいくら受け取ることができるのか?

今回、比較として使わせていただく保険は、オリックス生命の「新CURE」です。
非常にシンプルな医療保険で保険料も割安で人気のある商品です。
FPが医療保険のランキングをつけるコーナーかなにかでも上位に入ってくるほどFPにも人気のある医療保険です。
せっかく比較するのであれば、支持されているような保険でなければ意味がありませんので、こちらを選ばせていただきました。

では、保険料はといいますと・・・

30歳 男性 終身払い 日額5000円コース 先進医療特約付

保険料 1,582円

以下オリックスHPにてシミュレーション

 

こちらは、入院1日5000円、手術10万円というシンプルな医療保険です。
昔の保険と比較すると、保険料も安く、仕組みもわかりやすくていいですね。

こちらの保険で平均入院日数の20日間(本当は19.7日ですが、計算の都合上)入院した場合は・・・

10万円(5000円×20日)受け取ることができます。
また、手術もしていたら+10万円なので合計20万円の給付があります。

自己負担金額の平均が22.7万円だったので、ほぼ自己負担金額をカバーするほどは受け取れていますね。

じゃあ、やっぱり保険でいいんじゃないの!?って思いますよね。
ここからは支払う保険料と受け取る保険金のバランスで見ていきましょう。

支払う保険料総額は・・・?

30歳男性の場合、終身払いだと毎月の保険料は1,582円です。
年間保険料は18,984円(1582円×12ヶ月)です。

終身払いなので、男性の平均寿命まで生きた場合80歳まで支払うこととなりますので、ちょうど50年です。
よって、生涯に支払う保険料は・・・

949,200円(18,984円×50年)です。

よって、支払い保険料分を保険金として受け取りたい場合は、平均日数分の入院を約4回すれば取り返すことができる計算となりました。

 

ここからは自身の価値観で判断

さて、この数字を見て皆さんはどう思われますか?
人生で20日ほどの入院をする病気に何度かかるでしょうか?
ここからは自分自身の価値観との相談となりますが、あくまでも統計としてみた場合、入院を伴う病気を5回以上して受け取る保険金が支払い保険料を上回る結果となります。

また、保険で用意すべきか貯蓄で用意すべきかという検証には答えがないため一つのゴールにたどり着きます。
それは、掛けた保険料以上に保険金を受け取ることができるのか?です。

もし、掛けた保険料以上の保険金を受け取ることができなければ貯蓄で用意する方がいいという結論になるからです。

私は、一人の方がそれほど大きい病気を何度も繰り返している人をあまり多く見たことがありませんし、現在の高齢者の方が意外と医療保険を解約している事実を知ってからというもの保険ではなく貯蓄で準備するのが現実的と考えています。

また、僕が保険を備えとして勧めないのには、現在の医療保険の仕組みも影響しています。

1入院60日型などが多い

さきほど例に挙げた「新CURE」も1入院60日型です。
つまり、1回の入院で受け取れる保険金にも限度があるということです。
これは近年の短期入院に合わせて設計されているのでしょう。
結果的に保険料も下げることができています。
※正直、通算入院限度数である1,095日などは気にすることはありません。

また、この1入院というのは一般的な1入院と仕組みが異なります。

それは、「前回の退院から180日経たないと別の入院としてカウントしない」ということです。

この180日にはどういった意味が込められているかといいますと、「同じ病気ではいっぱい保険金はあげません」という意味が隠されています。

具体的にみていきますと・・・

1度目の入院で40日間入院することとなりました。
その90日後、また40日入院することとなりました。
この場合、1入院60日型ですと、何日分が受け取れるかというと「60日分」です。

180日以内は1入院とみなすため、2度目の入院では上限までの残り20日分が支払われ、残り20日分は実費となります。

どの保険にも通ずるのですが、180日という日数と原因を判断する一つの基準とされています。
他にも事故から180日以上経ってから入院した場合などは、原因は事故以外であろうという考え方がされています。
反対に事故から179日目に入院した場合は、事故が原因の入院と判断されます。

よって、簡単に言うと「人生で異なる病気で5回入院」したりしないと支払った保険料が返ってこない仕組みだということです。

そのような設計の保険が主流であれば、保険で備えるよりは貯蓄で備える方が現実的と私は考えています。

 

長期入院リスクの方を保険で用意すべき

当たり前ですが、高齢になればなるほど入院のリスクは高まります。
そして、高齢になればなるほど長期の入院リスクが高くなります。

よく保険の営業マンが老後に備えて今から保険に入っておきましょうと勧めますが、それであれば長期入院に対応した保険を販売すべきでしょう。
今まで見てきたとおり、短期の入院であればあるほど貯蓄で対応することが可能です。
反対に長期の入院リスクは貯蓄では難しいでしょう。

であれば、300万円程度の貯蓄と長期リスクに備える医療保険を持って高齢者になることがベストではないでしょうか?

ここで一つ面白い保険を紹介したいと思います。

長期入院のみに備える医療保険

それは楽天生命の「楽天ロング」です。
この商品は61日目から最大1095日までの入院に対して保険金が支払われます。
保険とは支払う保険金などから保険料が決められているので、「楽天ロング」は保険金を支払う機会も少ないため保険料が格安です。

30歳男性の場合、保険料は1,590円です。

入院リスクに備えるのであれば、貯蓄で対応できないリスクなどを保険で補うべきでしょう。

このような一般的には売れない保険が本当にいい保険だと私は思います。
詳しく知りたい方は楽天生命のHPからご覧ください。

健康保険制度が変わる可能性は・・・?

私の保険の考え方を聞いた方の中には、健康保険制度が変わったらどうするのか?というご意見があります。
それは、ごもっともであり、私の考え方は健康保険の「高額療養費制度」が軸となっています。
これが変わったら・・・と思われますが、それでも僕は貯蓄対応すべきだと考えます。

その理由は、また次回「健康保険が変わっても保険より貯蓄を勧める理由」に書きたいと思います。
次回記事
健康保険が変わっても保険より貯蓄を勧める理由

最後までお読みいただきありがとうございました。

「元役者」という異例の経歴をもつファイナンシャルプランナー。
現在は役者時代に培った経験を生かし、講師業を中心に活動。200人以上の確定拠出年金の運用相談の実績がある。

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