こんにちは、井上FP事務所の井上です。
確定拠出年金の配分について悩んでいませんか?
確定拠出年金のポートフォリオは一度作ったらおしまいではありません。
何度でもあなたの状態に合わせて作り変えてあげないといけません。
今日は、確定拠出年金の配分について、特に年齢に応じた配分についてお話をしていきたいと思います。
あなたがこの記事を読むことで、こんなことがわかるようになります。
- 5年や10年ごとに見直しをする理由
- リスク許容度は年齢や運用金額によって変わる理由
- どれだけ上手に運用しても最後がダメなら意味がないこと
- 少しずつ利益を確定していく方法
- 20代〜50代までの各年代別の資産配分の例を知ることができる
では、さっそくお話ししていきます。
目次
5年単位で大きな見直しをしよう
確定拠出年金の運用商品を自分のリスク許容度に合わせて選んだら、基本的に1年に1回のチェック以外することはありません。
また1年に1回のチェックも1時間もかからないので、一番最初にちゃんと考えてしまえば確定拠出年金はすることがほとんどありません。
そんな楽チンな確定拠出年金ですが、さすがに5年や10年といった節目のタイミングでは自分のリスク許容度が変わっていないかのチェックをしてください。
なぜ5年ごとにリスク許容度が変わっていないかのチェックが必要なのでしょうか?
それは、リスク許容度は運用金額や年齢で変わるからなんです。
100万円の30%と1000万円の30%は全く別物
例えば、会社に確定拠出年金が導入されて、その時にしっかりとリスク許容度を考えたとしましょう。
その結果、あなたは100万円を運用するなら30万円くらいなら減っても大丈夫かなと思いました。
それに合わせたポートフォリオを作り、金融危機があっても30万円ほどしか損失がでないようにしました。
確定拠出年金は毎月毎月、お金を足して運用していくので運用益でお金が増える以外にも元本が増えていきます。
そして運用を続けた結果、元利合計が1000万円になっていました。
ここで少し考えてみてください。
あなたが作ったポートフォリオは最大30%の下落を想定しているので、今、金融危機が起きたら1000万円の30%である300万円のお金が減ってしまうことになります。
結構大きい金額に感じませんか?
割合で言えば同じ運用資金の30%ですが、100万円の30%と1000万円の30%では全く別物ですよね。
100万円の30%の30万円は減っても耐えられると思っていても、1000万円の30%である300万円が減るのに耐えられないという人は少なくないと思います。
このように運用金額が多くなってくると自分のリスク許容度が変わっている可能性があります。
これは仕方のないことですし、運用しているのはあなたなんですから、あなたのリスク許容度が変われば、それに合わせてポートフォリオは変えていってもいいんです。
年齢が高くなるごとにリスク許容度は低くなる
確定拠出年金は、60歳までお金を出し続けて運用をしていき、一般的には60歳の退職と同じタイミングで運用を終わらせる人が多いです。
年齢が高くなるにつれて運用期間も残り少なくなっていくので、一般的にはリスク許容度を下げる人が多いです。
いったいなぜ年齢が高くなるとリスク許容度が下がっていくのでしょうか?
守りのステージに入るから
若いうちは、働く期間も長くこれから資産を作っていけるので極端な話、運用で損失が出ても他でカバーすることができます。
また結婚などをしていなければ、絶対に必要な支出は多くないので生活にゆとりがあります。
なので、若い間は稼ぐ力が高く支出が少ないので、『資産を増やそう』と考える時期と言えます。
しかし、40代や50代になってくると働く期間が少なくなり、年金をもらって生活する日々が近づいてきます。
同時に子供の教育費や住宅ローンなど確実に必要な支出が多くなってきます。
みんな年金だけでは生活が厳しいと思っているので、今ある資産を持って老後を迎えたいと思ってます。
こうなると、人は資産を増やそうというよりは『資産を守ろう』とするんですね。
確定拠出年金は大切な老後のための退職金制度ですから、老後の不安が増すごとに人は保守的になるのでその分リスク許容度が低くなる傾向があります。
ですので、もしあなたもそう思うのであれば年齢に応じて変わるリスク許容度に合わせたポートフォリオに見直していく必要があります。
終わり悪けば全てダメとなる
『安く買って高く売る』
こんな言葉を聞いたことはありませんか?
投資の基本と言われている考え方です。
自分が購入した時の値段よりも高い値段の時に売ることで利益が出るのが、資産運用の利益の一つです。
確定拠出年金も資産運用ですので、『安く買って高く売る』ことが大切になってきます。
とはいえ、少しでも利益が出たら売って・・・みたいなこまめな売買をする必要はありません。
長期目線の資産運用は、資産が増えたり減ったりはするものの長い目で見れば、資産が増えていくと考えて運用をしていきます。
期待リターンというのは、長い目で見れば1年単位でどれくらいの割合でお金が増えるかを示しています。

下のグラフのように上下しながらお金が増えていくのが、長期目線の運用の基本の考え方です。
でも、下の図のように終わるタイミングで買ったタイミングより低い状態になる可能性もあります。
こうなってしまうと、せっかく何十年と続けた確定拠出年金の運用の努力がなかったことになってしまいます。
だから、どこかで儲かった部分は売っておかないといけません。
それを5年10年の見直しのタイミングで行うんです。
出口に向かって少しずつ利益を確保していく
どのように利益を確保していくのかというと、すごく簡単で、株式などのリスク資産の割合を終わりに向かって減らしていけばいいんです。
言葉だけではよくわからないと思うので、ここから具体的な資産配分例を使いながら、確定拠出年金を始めた時から終わる時までの流れを説明していきますね。
では、相談者Tさんを例に見ていきましょう。
Tさんが確定拠出年金を始めたのは20代だったとします。
20代の資産配分
20代の人は、他の年代より比較的リスク許容度が高い人が多く、積極的な運用をしていこうと考えている傾向があります。
Tさんもけっこうリスク許容度のある人でした。
もし、ある程度のリスクが取れるならこんな資産配分でもいいと思います。
資産 | 比率 | |
日本債券 | 10.00% | |
海外債券 | 5.00% | |
日本株式 | 35.00% | |
海外株式 | 50.00% |
期待リターン | 4.16% | |
想定リスク | 14.24% | |
シャープレシオ | 0.29 |
想定リスクとはブレ幅ですから、想定したブレ幅の中で動きながら平均すると4.16%ずつ資産が増えていると考えられます。
この資産配分で、このまま30代になるまで運用を続けたとしましょう。
そして、20代の運用結果がこんな感じだったとします。
運用開始時点より利益は出ている状態ですね。
そして、30代となった節目のタイミングなのでリスク許容度が以前と変わっていないか確認をしないといけませんね。
30代の資産配分
Tさんは30代になってリスク許容度を考え直したところ、少しリスク許容度が下がっていました。
なので、それに応じて資産配分を見直しました。
資産 | 比率 | |
日本債券 | 15.00% | |
海外債券 | 15.00% | |
日本株式 | 30.00% | |
海外株式 | 40.00% |
期待リターン | 3.68% | |
想定リスク | 11.8% | |
シャープレシオ | 0.31 |
株式などのリスク資産を減らして債券などの比較的安全な資産にシフトした形です。
資産 | 20代の比率 | 30代の比率 | |
日本債券 | 10.00% | 15.00% | |
海外債券 | 5.00% | 15.00% | |
日本株式 | 35.00% | 30.00% | |
海外株式 | 50.00% | 40.00% |
これにより、期待リターンと想定リスクは下がりました。
20代 | 30代 | ||
期待リターン | 4.16% | 3.68% | |
想定リスク | 14.24% | 11.8% | |
シャープレシオ | 0.29 | 0.31 |
想定リスクはブレ幅でしたよね?
つまり、上にも下にも動くブレ幅を狭くしたということになります。
これが利益を確定することにつながります。
重要なところなので詳しく解説します。
例えば、20代の資産配分で運用を続けた場合は、下の図のようなイメージで資産が増減します。
ブレ幅が大きいので、増える可能性もあれば、最悪の場合、運用開始時点よりお金が減ってしまう可能性がありますよね?
でも、30代で資産配分を見直して想定リスクの低い資産配分にしたらどうでしょうか?
ブレ幅を狭めるということですから、上にも下にもブレる可能性を低くしたということですよね。
これにより、20代の資産配分を続けた時よりもブレ幅が小さくなる分、上にも下にもブレる幅が小さくなりました。
イメージしやすいようにグラフをわかりやすく作りましたが、資産配分を見直して想定リスクが下がるとブレ幅が抑えられると下(上)に振れる確率が少なくなるので、結果的に利益を確保しているということがわかると思います。
もっとわかりやすく言うと、30代で資産全てを元本確保型にしてしまえば利益は絶対に確定することになりますよね。
でも、30代で元本確保型にしてしまうとあと30年間という運用期間を無駄にしてしまうので少しずつリスク資産の割合を減らしていくのがいいんですね。
あくまでも一つの例です。
40代の資産配分
さきほどお話ししたことが理解できれば、あとは自分のリスク許容度に合わせて資産配分を変えていくだけです。
ちなみに僕の経験から言うと、40代まではそれほど大きくリスク許容度が変わる人はいません。
若いうちから積極的な運用をしている人は、少しずつリスク資産を減らしていきますが、もともとリスク許容度が高くない人は50代までは同じような資産配分をしている印象があります。
Tさんは積極的な運用をしていたので30代と比べてリスク資産の割合を少し減らしました。
資産 | 比率 | |
日本債券 | 30.00% | |
海外債券 | 20.00% | |
日本株式 | 20.00% | |
海外株式 | 30.00% |
期待リターン | 3.00% | |
想定リスク | 8.71% | |
シャープレシオ | 0.34 |
<資産配分の変化>
資産 | 30代の比率 | 40代の比率 | |
日本債券 | 15.00% | 30.00% | |
海外債券 | 15.00% | 20.00% | |
日本株式 | 30.00% | 20.00% | |
海外株式 | 40.00% | 30.00% |
<期待リターンと想定リスクの変化>
30代 | 40代 | ||
期待リターン | 3.68% | 3.00% | |
想定リスク | 11.8% | 8.71% | |
シャープレシオ | 0.31 | 0.34 |
30代と比べるとさらにリスク資産を減らして債券などを割合を増やした形ですね。
50代の資産配分
50代になると、そろそろゴールが見えてくる年代です。
実際に50代の方とお話ししているとリアルに老後を感じると言われます。
そのため、運用についてもかなり保守的になってくる印象があります。
僕も50代になってくると、ついに元本確保型の出番だと思ってます。
逆を言うと50代までは元本確保型は不要だと思ってます。
Tさんもそろそろ利益を確保しておきたいと考えていたので、株式の部分を元本確保型にシフトしていきました。
資産 | 比率 | |
日本債券 | 30.00% | |
海外債券 | 20.00% | |
日本株式 | 10.00% | |
海外株式 | 10.00% | |
元本確保型 | 30.00% |
期待リターン | 1.58% | |
想定リスク | 3.94% | |
シャープレシオ | 0.40 |
<資産配分の変化>
資産 | 40代の比率 | 50代の比率 | |
日本債券 | 30.00% | 30.00% | |
海外債券 | 20.00% | 20.00% | |
日本株式 | 20.00% | 10.00% | |
海外株式 | 30.00% | 10.00% | |
元本確保型 | 0% | 30.00% |
<期待リターンと想定リスクの変化>
40代 | 50代 | ||
期待リターン | 3.00% | 1.58% | |
想定リスク | 8.71% | 3.94% | |
シャープレシオ | 0.34 | 0.40 |
元本確保型を組み入れたことで想定リスクは、かなり減りましたね。
最後をどう終わるかは運用している人の考えが濃く反映されるので正解はありませんが、このまま退職を迎えるのも一つだと思います。もしくは、55歳くらいのタイミングで株式を元本確保型に移行するのも一つだと思います。
まとめ
確定拠出年金は何十年と運用を続けていく制度です。
僕たちの価値観が何十年と変わらない部分ってあんまり多くないですよね。
食べ物の好みや健康への意識、人に対する考え方・・・あらゆる価値観は年齢や状況によって変わっていきます。
それと同じように運用に対する考え方も変わっていきます。
だから、その時その時のあなたの考えに合わせて資産配分も変えてあげないといけません。
その頻度としては5年、10年くらいでいいと思うので、たまに自分のリスクに対する考え方が変わってないかをチェックしてくださいね。
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